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ジブリ映画『レッドタートル ある島の物語』を見てきた感想(ネタバレ有)


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『レッドタートル ある島の物語』はジブリの鈴木敏夫プロデューサーがオランダ出身のマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督へ長編製作を依頼したようで、10年の歳月をかけて完成した作品のようです。

自分はというと…何となく海外の監督とジブリが一緒に作ったアニメ映画が上映開始されるらしい!くらいの気持ちと前知識のなさで映画館へ行って参りました。

同行した友達にまったく知識がないことを伝えると、「セリフが一切ないらしいよ!?」との情報をもらい、果たして理解できるのか…?とどきどきしながら上映を待ちました。
初日にも関わらず、私達をのぞいて3~4人くらいしかいなかったように思います…。

ジブリ映画っていうと、自分から調べに行かなくても前情報が入ってくるくらいのイメージがあったけど、いつの間にか上映開始日を迎えていて、もしかしたら他の方もそんな感じなのかもしれないですね。

セリフ(言葉)はないけれど、息遣いや、呼びかけなどの声は表現されていました。
独特な世界観で、色んな問いかけを含んでいるような、深い映画だったなぁと思います。

この先、ネタバレを含みながらシナリオや感想をまとめていきますので、ご注意ください。


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『レッドタートル ある島の物語』のあらすじ、ストーリー、内容

映画は荒れる海の中、転覆したボートと投げ出される男のシーンから始まります。

男は運よく島へ打ち上げられ、その島の探索をはじめます。

飲み水を見つけ、食べ物をみつけ、海に浮かぶタルを見つけて取りに向かおうとするところで足を滑らせ岩場の中にある海へ落ちてしまったり…
はじめて訪れる、突然の豪雨(スコール?)の音がなんの音か分からず、木の棒を構え敵を迎え撃つような姿勢をとったりする男。

そんな日々が続く中、木材を集めイカダを作り、島の脱出を試みます。

あるところまで来ると、イカダの下に衝撃がはしり、船はバラバラになり、脱出が失敗してしまいます。
そうして元の島へ戻り、またイカダを作り…しかしまたも下からの衝撃でイカダはバラバラに…
と、繰り返している中で、ある時その下からの衝撃の正体が判明します。

海に投げ出された男が見たものは、大きな赤い亀。

今回も失敗に終わり、島へ戻った男でしたが、あの時みた赤い亀が島の砂浜へ上陸してくる様子が見えたため、亀のいる方向へ駆け出します。

何度もイカダを壊された怒りもあり、亀の側に来るや否や、まっさきにその亀の頭を木の棒で殴ります。
さらに亀を砂浜でひっくり返らせて、放置してしまいます。

当然、カメは自力では起き上がることはできず、やがて動かなくなります。

しばらくして男は冷静になったのか後悔したのか、亀のことが気がかりになった様子で、触ってみたり、水をかけてみたり、日よけを作ってみたり…と試行錯誤します。
ある時、男が気付いた時にはその亀は人間の女の姿になっていました。

男は亀の頭を殴ったりしたこともあり、女に申し訳なさそうな態度を取るのですが、優しく手を重ねて首を振る女。
そうして時間がたち、愛がはぐくまれ、赤ちゃんが生まれます。

この赤ちゃん(息子)が成長していく過程で、父親(男)の過去と同じようなことを繰り返していたり(岩場から転落)していました。
それでも、この島での生き方や家族愛にあふれた生活が描かれ、とても幸せそうでした。

息子がある程度の年齢になった時、島では不穏な気配が…
突然遅い来る大きな津波。

それが何なのかも知らない息子はあまりの大きな音に、浜辺まで降りて確認しにいきます。
母親(女)は父親(男)の手を引き、走って逃げようとひっぱります。

島が津波に飲まれ…

運よく目を覚ます、息子。
そして、しばらく探して見つかったのは足を怪我した母親。
父の姿はなく、息子は叫びながら探し、海へ泳いでいきます。

緑のカメ達に誘導されながら、沖でみつけた父親。
結果的に家族は無事でした。

それからまた家族三人の生活が描かれていますが、津波によってバラバラになった木々をあつめてここではじめて炎があがります。

そうしたある時、息子は島から旅立ち、夫婦が島に残されます。
男は随分と年を取ったようです。

星空の下、いつものように眠りに付く二人でしたが、男は静かに息を引き取ります。
女は彼を触り、確かめ…

静かに亀の姿にもどり、海へ帰っていくのでした。

絵本のようにも思える独特な描写

私が一番印象に残っているのは空の描き方です。
砂のテクスチャのようなざらざらした感じ、というかキャンバスに描いたような…一枚絵の遠くにあるようなべったりした空。
雲も動くことがないし、かなり独特です。

同様に、こんな島にいたら、星空だってさぞかしきれいなんだろうな~と思うけど、それを協調するような描写もないし、そんなにきれいだなーって感じもしない。

見せたい分部がそういった自然の美しさや光の描写とは違ったのかな~とは思うけど、絵本だったりアート作品みたいな雰囲気で素敵でした。

逆に自然の恐ろしさや現実感を描いてる部分はすごく伝わってきたな~と。
生命(蟹や魚の死骸、虫とか)の描写も所々で印象的だったし、何より津波のシーンがものすごく恐ろしい。

序盤であった豪雨の音も空襲でも始まるのかって思わせるくらいすごいし、足を滑らせて岩場の中にできた空間(海)に落ちてしまった時も見ていてめちゃくちゃ怖かったです。
海中の中に潜り、岩の狭い隙間をくぐってつっかえながら脱出するんですが、あのシーンは井戸に落とされた貞子の気分で絶望に浸りながら見てました…。

亀が女に変わったり、夢の中での不思議な光景だったりと、正直に言うとよくわかってない部分も多いけど、そういったあたりも絵本っぽいなぁーと思う要因かな。

人物の顔なんかも目が点だし、描きたいものがそういった部分ではないんだろうなーって。
顔が描かれてなくても夫婦が手を重ねるような描写で中むつまじい愛が伝わるし…!!

見終わった後、色々考えてしまう映画

自分の場合、一緒に見た友達とあれこれ「ここってこういうこと?」って話せたんですけど、一人でみてたら色々葛藤を抱えて帰ることになりそうです。笑
好き嫌い、面白い面白くないがはっきりでそうな作品でした。私は見てよかったなと思うけど、中々他人には勧めづらいかな。

命のあり方だったり、愛というものを描いているのかな~とは思うけれど、まずは「生きる」ということにおいて、けっこうハラハラしながら見たり、自分だったらどうだろうとか、手に汗握りながらみてたりしましたよ。
ここで自分なら諦めちゃうな…って思う部分がたくさんありました。笑

最初は男の視点で、こんな無人島に漂流してしまったらどう脱出しようか…と思ってみてたんですけど、最後には、これって亀の(視点の)お話だったのかな…?なんてぼんやり。

亀は寿命が長いから、一生のほんのひと時、愛した者と暮らした時間。
その後も続く命。と…

亀が男の島脱出を邪魔していた(?)のは男のことが好きだったからなのか、終わった後にぼんやり考えてたけど、そういうことなんですかね?

最初は「生きること」「脱出すること」を目的としていたけど、女と出会って子供が生まれてから「生きる」部分が普通に行える状況であるなら、世界に人間が自分達だけであっても何の不満もないし幸せだろうな~と思いながら、次第に目的が変わっていることを実感しました。

レッドタートルを見た後にふと思ったのが、ジョジョの「人間賛歌」という言葉。
自分達の力で切り開く命のあり方や、そこにある生活。
あと、荒木先生は重要なキャラ(主人公)がしぬことより、命を繋ぐことの大切さなんかについても言っていた気がする。
それを思い出しました。

あとは、気がかりだったのは、火がおこしたのが最後のほうだったこと。
男一人では火を起こせなかったのかな…、無人島サバイバルだと割りと早い段階で火を灯そうってなる気がするので不思議です。

津波の後、息子が男を探すときに緑の亀が助けてくれてた(ようにみえた)けど、あの亀達って序盤に男が手を差し伸べた亀なのかな…?

海に帰ったあとのレッドタートルが、心強く、これらの体験を一生のかけがえない一部だった、として生きていくことを願っています。

さいごに

深い映画だなぁと思う反面、何を伝えたいのかが難しくて、見る人を選びそうだなと思ってしまうけど、映画館でみてよかったなーと思う内容だったので、気になる方にはぜひおすすめしたいです。

ジブリの自然描写力はすごいです…津波こわい…
(こういった部分で苦手意識を持つ方はやめたほうがいいかも)

セリフもない、登場人物に名前もない(男は何者だったのか、どんな文明で暮らしていたのかもわからない)、それでも最後まで夢中で見てしまう、そんな映画でした。

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